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2021.07.26

実は、とってもエコな段ボール

ネット通販で買い物をしたときや荷物を送るときなどに使う段ボール。今や、私たちの生活に欠かせないものになっています。そのように、日々の暮らしに欠かせないものになっているとはいえ、頻繁にネット通販を利用している方の中には、包装資材として使われる段ボールを見て、「これは資源の無駄使いなのでは?」と思うこともあるかもしれません、

実際、日本で1年間に生産されている段ボールを敷き詰めると、およそ140億㎡になり(*)、これは東京都の面積の6倍以上にのぼります。

もしこれだけの量の段ボールが使い捨てにされていたら……と思うと少し心配になりますが、ご安心ください。実は段ボールは、限りある資源を最大限に有効活用している、トップクラスにエコな地球に優しい包装材なのです。

では、段ボールのどこがエコなのか、紹介していきましょう。

段ボールの材料は段ボール!?

まず、皆さんは段ボールの原料をご存じですか?

こう聞くと「段ボールは紙でできているから、パルプでしょう?」と答える方が多いと思いますが、実は違います。現在の日本で生産されている段ボールの主な原料は、なんと「段ボール」なのです。

もちろん、使用済みの段ボールをそのまま使うということではありません。現在では、一般家庭や企業などから出される使用済み段ボールは「燃やすゴミ」として廃棄するのではなく「資源ゴミ」として回収されるのが一般的です。回収された段ボールは、製紙工場で加工されて段ボールの原料となり、新しい段ボールとして生まれ変わっているのです。そのようにして、段ボールは平均7~8回、再生されていると言われています。

段ボールは究極のエコ素材

今、環境保全と資源の有効活用を通じて「持続可能な社会」を実現することに社会的な関心が高まっています。SDGs(持続可能な開発目標)という言葉は、かなり一般的になってきましたね。プラスチックゴミ削減のためのマイバッグ持参運動の広がりや、再生可能エネルギーの一層の普及への流れなどは、その現れといえるでしょう。

そのような状況にあって、使用済みの製品を原料にして新たな製品をつくることができる段ボールは、原料のうち使用済み段ボールの占める割合はなんと90%以上!

段ボールは究極のエコ素材であり、本当に「持続可能」な包装材なのです。

さらに段ボールは、水を混ぜて撹拌すれば繊維状にほぐれるので、リサイクルの工程で環境に与える負荷も低く、その点でもエコな素材と言えます。

段ボール回収率推移

ここまで紹介してきた段ボール再生の流れが実現できているのは、社会的なエコ意識の高まりに加え、しっかりしたリサイクルの仕組みが確立されているからです。

そして、そのリサイクルの起点となるのが、使用済み段ボールの回収です。より多くの段ボールを、より効率的にリサイクルしやすい形で回収するためには、段ボールを排出する一般消費者や事業者の皆さんにリサイクルの周知や分別のお願いなどをするだけでなく、段ボールを製造する側にも工夫が必要です。

そこで、廃棄の際の取り扱いを容易にするために段ボール製造業者も工夫を重ね、折りたたみやすい段ボールを開発したり、リサイクル可能を示すリサイクルマークを全ての段ボールに印刷したりするなど、よりリサイクルしやすい環境整備を進めてきたのです。

そのような努力の結果、段ボールの回収率は2004年の84%から徐々に上昇し、2015年には97%を超え、ほぼ100%に近い回収を達成。その後、若干の上下はありますが、引き続き高い水運での回収率を実現しています。

使用済み段ボールがこのような形で回収されているからこそ、「段ボールの原料は段ボール」というエコな仕組みが維持できているのです。

段ボールリサイクルの流れ

先にお伝えしたように、段ボールのリサイクルは、一般消費者や事業者が段ボールを分別して廃棄するところから始まります。そしてその段ボールは古紙回収業者や自治体によって回収され、その次に、回収した段ボールを加工して段ボール原紙をつくる製紙会社に送られ、最後に段ボール会社が段ボール原紙を加工して利用可能な段ボールを作るという流れになっています。消費者と3つの業界が一体となって、リサイクルの仕組みを支えているというわけです。

では、もう少し詳しく、リサイクルの流れを紹介しましょう。

まず、自治体や古紙回収事業者によって回収された使用済み段ボールは、針金などの不純物を取り除き、製紙工場に運ばれます。

製紙工場では、回収された段ボールを「パルパー」と呼ばれる巨大な水槽に投入し、繊維状になるまでほぐして、段ボール原紙の原料を作ります。そしてこの原料を平たく伸ばし、乾燥させ、表面を滑らかにして、段ボールの素になる厚紙「段ボール原紙」を作っていくのです。

このようにして完成した段ボール原紙はロール状に巻かれた状態で段ボール工場に運ばれ、「段ボールシート」に加工されます。

段ボールシートとは、段ボールケースを1枚の紙にしたようなものだと思ってください。この段ボールシートを作るために、段ボール原紙を平たい紙である「ライナー」と、波打った紙である「中芯」に加工します。そして、中芯を挟むようにライナーを上下に張り合わせたのち、決められた寸法にカット、整形します。

そしてこの段ボールシートに、必要な印刷をしたり切れ目を入れたりすれば、段ボールケースの完成です。

このようにして、使用済みの段ボールは新しい段ボールにリサイクルされるのです。

まとめ

日頃から「ちょっと無駄使いをしているかも」と思われるかもしれない段ボールですが、実は非常にエコで優秀なものということがお分かりいただけたと思います。「持続可能な社会」の実現に向けて、このエコな素材をさらに利用しやすくするために、段ボールに関わる事業者は日々努力と工夫を重ねているのです。

この記事をかいた人

しかけ箱ドットコム編集部

有限会社佐貞商店の運営するWEBマガジン「しかけ箱.com」の編集部。皆様に段ボールの素晴らしさや段ボールを使った企業の課題解決策などをお届けいたします。

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