2021.07.26
ひとつだけじゃない!? 段ボールの種類と特徴
「段ボール」と聞いた時、皆さんはどんなものをイメージするでしょうか?
一口に「段ボール」と言っても、実は様々な種類があるのです。ネット通販などで私たちがよく目にするのは、ある程度の頑丈さと折り曲げなどの取り扱いの容易さを兼ね備えたもの。他にも、家具や大型電気製品の運搬に使うような固くて分厚いものから、1ミリを切る厚さのものまで多種多様なのです。
そこで今回は、そのような段ボールの種類と特徴についてお話しましょう。
目次
段ボールの種類
段ボールの種類についてお話する前に、そもそも「段ボール」とはどのようなものか、日本の産業製品に関する規格であるJIS(日本産業規格)の記載を紹介しましょう。
「波形に成形された中芯の片面又は両面にライナを貼り合わせたもの。種類によって片面段ボール、両面段ボール,複両面段ボール、複々両面段ボールがあり、また、用途によって外装用段ボール、内装用段ボールに分類する」(JIS Z0104:2013)
段ボールの断面を見ると、波形に折られた紙の両面あるいは片面に、平たい紙が貼られた構造になっているのが分かります。この波形の部分は中芯と呼ばれ、段ボールに加わる衝撃を吸収したり、圧力に対する強度を高めたりする役割がある重要なパーツです。段ボールは、中芯の高さや段数によって「フルート」という種類分けがされています。
そして、中芯の両面あるいは片面に貼り付けられている平たい紙は「ライナー」と呼ばれています。このフルートとライナーの組み合わせが基本的な段ボールの構造であり、両者の貼り合わせ方で段ボールは分類されます。ちなみに、フルート、ライナーともに、JISで規格が定められています。(JIS Z1516参照)。
構造の違い
では、段ボールの分類について「構造」よる分類からお話しましょう。ますは、貼り合わせの方法によって分けられている分類についてお伝えします。
片面段ボール
中芯の片面に1枚のライナーを貼り付けたもの。片側だけに平たい紙が貼られている状態なので、裏返すと中芯を見ることができます。
両面段ボール
中芯を挟んで両面にライナーが貼られたもの。片面段ボールの、ライナーが貼られていない側にもライナーを張り合わせた形になります。
複両面段ボール
両面段ボールの片側に、片面段ボールのライナーが貼られていない面を張り合わせた2層構造のもの。3枚のライナーが2枚の中芯を挟んだ形になっています。
複々両面段ボール
複両面段ボールの片側に、片面段ボールのライナーが貼られていない面を張り合わせたもの。4枚のライナーが3枚の中芯を挟んだ形になっています。3層段ボールとも呼ばれています。
このうち3と4は、高い強度が求められる場合の段ボールの構造です。
次に、もうひとつの分類方法である中芯の種類による分け方、「フルート」についてご紹介しましょう。
中芯とは、先にお話したようにライナーに貼り付ける波形の紙です。
フルートは中芯の
・波形の数(30cmあたりの波形の数)
・波形の高さ(実際の段ボールの厚さを算出する際には、ライナーの厚さも加算)
・段繰率(一単位あたりのライナーに対する中芯の長さ)
などによって分類され、JISではAフルートからCフルートまでの規格が定められています。
-Aフルート
波形の数 34±2 波方の高さ4.5~4.8mm 段繰率約1.6
2リットルのペットボトルの箱や野菜の運送箱として、また引越し業者が使用する箱として、など、一般的によく目にします。スーパーなどで無料配布されている段ボールの多くがこのAフルートです。主に外装箱で使われます。
-Bフルート
波形の数 50±2 波方の高さ2.5~2.8mm 段繰率約1.4
Aフルートよりも薄く、使い勝手がいいこともあり、内装箱や小型・軽量な商品の梱包に使われます。また、波形の数が多いので折り曲げやすく、加工して工作をする際にも便利です。
-Cフルート
波形の数 40±2 波方の高さ 3.5~3.8mm 段繰率 約1.5
AフルートとBフルートの中間の厚さです。日本ではAフルートが標準的ですが、海外では、このCフルートが主流です(*)。基本的には、Aフルート同様、主に外装箱として使われます。
この3種類以外にも、波形の数がさらに多く、また波の高さが低い、マイクロフルートというものもあります。このマイクロフルートには、Eフルート、Fフルート、Gフルートの3種類があり、主に個別の商品を包む個装に使われます。
さらに、特に強度を求められる場合のフルートもあります。
-AAAフルート
3枚のAフルートを張り合わせた構造のものです。約15ミリという厚さがあり、非常に硬く強度は最高レベルです。輸出時の重量物の運搬に使われる他、家庭用のダンボール家具などに使われることが多いです。1トン近い重量にも耐えられる強度がありますが、製造コストも高いので用途は限られています。
-AAフルート
2枚のAフルートを張り合わせた構造のものです。AAAフルートほどではありませんが、こちらも約10ミリという厚さで、硬さと高い強度があります。重量のあるものの梱包に用いられるなど、業務用に使用されるケースが多いと言えます。また一般向けでは、段ボール家具や子供向けの遊具に使われます。
-ABフルート
AAフルートの一方のフルートをBフルートにしたものです。厚さは約8mmで、AAAフルートやAAフルートと比較すると、硬さ、強度は落ちますが、大きい家具や家電製品などの梱包によく使われます。
まとめ
皆さんも、日常生活のいろいろな場面で段ボールを使われていると思いますが、その時に頑丈さや使いやすさに違いを感じることも多いでしょう。その違いは、決して適当にできたものではなく、国によって定められた規格に沿ったものであり、その数だけ段ボールには種類があるのです。
今度手元に段ボールが届いたら、どのような構造で作られているのか確かめてみるのも楽しいかもしれませんね。
この記事をかいた人
しかけ箱ドットコム編集部
有限会社佐貞商店の運営するWEBマガジン「しかけ箱.com」の編集部。皆様に段ボールの素晴らしさや段ボールを使った企業の課題解決策などをお届けいたします。